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ふにゃっ

あの星のふもと、かたちが手を振っている

文章3

   彼の名はモナリザという。モナリザは正に美の中の美を自らに持っておりああやって頬擦りをしながらただデッサンされることで自らの欲望を消化する日々を過ごすただの学生如きに収まらない普通の学生であった。

「わたし美術部の日常なんてしらないよ〜」
そうはいってもあんた、なぜかこのシチュエーションが出てきたんだから仕方ない。あんたは一美術部員としてこの危機を黙々と切り抜けるしか道はないのだ。
「もう仕方ないな〜。今回だけだかんねわかってるー?」
そういうセリフ言うやつ好きだぞ順子。
「わたし順子って名前じゃないよともえだよ」
そんなのしるかお前は順子だ順子。
「なにいってるのあんたあほ? あほだからか、納得」
そういって彼女は黙々とモナリザをデッサンし始めた。モナリザは全身に悦びを爆発させている。実はこの部活は部員は五人しかいなくそのうち四人が腹痛で一回も部に参加したことがなかったのでモナリザをデッサンてるのは順子ひとりだったのだ。
「ともえだかんね。それだけは許さないから」
そういいながらも黙々とデッサンてるともえ改め順子。なかなかいいじゃないか。素人のいいがなにを表しているかなんて知ったもんじゃないがとにかく褒める。
「そんなのゆわれても別にどうだっていいからねわたし美術部じゃないんだし」
そうやってせかいから逸脱しようとするとおれに嫌われるぞ。わかってる?
「あんたがそういう性格にしたんでしょうが。くらえしねこの馬鹿野郎」
ああせかいを完全に破壊しないでくれ順子。おれのちっぽけでおもしろそうな空間がなくなっちまうじゃないか。ああ…。
「あんたってやつはほんとむかつくのよ。一度お仕置きが必要だわ。尻出しなさい尻」
やめてくれ〜。まあ嬉しいからいいんだけどね。
「殺してやる。セミの一本刺しの如く焼いてやる〜。食べ殺してやる」
それもまたありだね。嬉しいよ順子に食われるなんて幸せだ。
「〜〜、、。ち、調子狂わせるなこのあほー」
ははは。お互い様というやつなのさ。これからは友好的にいこうじゃないか。ほら握手。
「気持ち悪い手出すな」
ははは。
「気持ち悪いっていってるだろうが」
そうやって恐竜ぶち殺しナイフで俺を恐喝するのはやめたまえ。いくらなんでも脅しにしてはご多忙がすぎるよ。
「本気だよ」
そういって俺は八つ裂きにされた。あまりに派手にぶちかまされたのでこれがニュースになった。わたしが隠していつも動画配信していたサイトのサーバーは焼き死ぬほどの騒ぎになった。順子はそのことを知った後おれと関わりのあるもの総てを灰にしてしまうほどの爆弾娘としてせかいに名を残したそうだ。偉いぞ順子。俺は嬉しいよ。そんなに俺のこと思っていてくれたなんて果報者だよ。世界一ってやつだな。これで宇宙進出もゆめじゃなくなったよ。順子、きみのおかげだ。ありがとう。今度バタロールでも奢るよいい店知ってるんだあまりに高級すぎて誰もはいっていない店なんだけど俺と彼とはツレなもんで特別に中に入れさせてくれるんだ。一緒にいこうよ約束だよ。ねっ?
「あんたっておとこは…」
はいっ?
「いつになったら死にやがるんだ〜!!」
バレた?
「死ね灰になれわたしの前に姿表せるなそれに順子って呼ぶな〜‼︎」
はははまったく順子ってやつはおちゃめだな〜。そんなに嬉しいなんて俺嬉しいよ〜。
「もう嫌〜」
そういってわたしは腐れキモ太郎を殴りぶちかますが上手くいかない。彼は豆腐の如くトロけまくり固定を保たない。ぶちかませれないのだ。
「殴らせておくれよお願いよ。早く死んでおくれキモ太郎」
まあ残念ながらこういうことをいうとあいつは喜ぶ。そういうところがキモいんだよ自覚しろ。
「今度ネギの即売会があるんだよ。目が利くだろきみってやつは。だからねいつも通り頼むよいいネギをね」
「ネギなんか知るかこの野郎。お前一人でいきな」
「そんなことしたら誕生日記念鍋パ開けないよ。それできみは世の中を許せるというのかい?」
もうわたしは彼とは話さない。話せる義理がどこにあるというのか。
「死ね泥となれ。存在すら無くなっちまえ。早く死ねこの野郎」
どれだけ殴り切り潰そうが彼は消えない。どうして。こんなに気持ち悪いのにどうして消えないんだろう。嫌になっちゃう。
「どうしたんだい急に殴るのやめて。もしかしてネギ買いにいく気になったのかい。それは心強い。場所はねちょうどネギの出生地としても有名な千葉で…」
「うるさい…」
「はい?」
「うるさいの。はやくあっちいって‼︎」
キモ太郎はいなくなった。

 

なんでだろう。寂しい。
キモ太郎がいなくなって三週間。わたしはなにをしていたんだろう?
わたしにはなにもなかったんだなあ。一体なんなんだろうねわたし。
わたしのほうがキモかったのかなある意味。わたしってそういえばこんなんだったんだなあ。
はあ〜。ため息。手で髪を巻く。体育座り崩し。わたしは一体どこにいるのかは知らないけどおそらくせかいの片隅。自ら息ができる場所に逃げ込んでいたんだ。こうやってちっぼけなまま自らでいられる場所に。
おかしいことなんてひとつもなかった。わたしがただそういう人間だっただけだ。どれほどまでにキモ太郎を殺そうが結局なにも変わらなかったじゃないか。殺しても殺せてなんかいなかったじゃないか。
わたしはいつまでもここに座っていただけ。ひとつも動いてなんかいなかった。ただ愚痴いって嘆いて絶望して。なにも起こらない場所でただ思い込んであほみたいに一人でそうやって。それ以外の何物でもない。わたしはそういう奴。忘れていたけど思い出した、忘れた振りをし続けていただけだったけどそれでも思いだせた。
「キモ太郎ごめん。わたし許してなんかいえないよね。でもいいたい。そして殴ってほしい。わたしがやったことそれに対するあんたの思い。わたしはしっかり受けないといけない。そうしないとわたしここから歩き出したらいけないと思う。けじめなんかじゃない。当たり前のこと。わたしの行為に対する当たり前の出来事。それはみないといけないから。知らないといけないから絶対に」
でも 彼はもう現れることはなかった。どれだけ待っても現れなかった。わたしは手紙を置いてここをでた。すみっこじゃなくて中央へ。しっかりと歩むために。歩めるぐらいにわたしは生きられるようになりましたから、彼のお陰で。

わたしはいつも探しています。あなたを探しています。時々通り過ぎたような気がして。振り返りますがあなたはそこにはいません。ですが彼はいつかわたしとまた出会えるような気がします。わたしはあの場所に手紙を置いてきましたし、それだけでなく。彼とわたしはなんだかそういうほしのような気がします。だからこそ。わたしは本気でしっかり生きています。生きようとしています。いつのひかわたしの先にいる彼と出会えるように。まだまだ未熟歩き出したばかりのわたしですがいつのひか。胸を張って生きられるようになったのなら彼に出会える。そういう気がします。だからいつの日にかまでお元気で。わたしも元気でやっていますから。順子改めともえより。