卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

なかとそと

一日一文

 

わたしはなかで深い森のお茶会を演じている。客は何人か。わたしはただ黙り込み時々口を動かす。客はそれぞれに好みの話を演じている。客は人形だった。カタカタカタ。震えながら話している。
深い森ゆえ光は通らない。息が篭る。深い森にて空気は濃くわたしを離さない。この地以外に行くなとそう身体を制御している。わたしはただこのお茶会を演じ続ける。客は常々変わっていくが全て人形だった。わたしはお茶を入れ替える。彼らは飲む。ただそれだけだった。

 

他者が血まみれになっていくのを何度も見て今日見たあの子がどういう道筋を描いてきたのか勝手ながらも想像してしまった。それは僕だけのあの子でこれは誰にも侵されない神域かと思うと少し口元が垂れてしまった。
そうやって道征くあの子にはたくさんの想像のあの子が載せられていき多角的複雑なあの子が形成される。そうしてあの子がおはようっていった時にわたしは図らずも圧されてしまい目を逸らす行為に到るのであった。どうしたのと何気なく追求してくるあの子になんとかわたしは返事をするがその声は細くそれゆえなにも伝えることはできなかった。わたしは同じ地平線に立っておらずそれゆえあの子に不快感を与えたならばなんてわたし自身は愚かなクズな人間だとそれゆえ今すぐ逃げ出したくなった。だがその行為もあの子の尊厳を傷付けるであろうことを考えるとわたしはひたすら身をすり潰していき無理矢理にも同じ地平線へと上がっていかなければと言葉をただ放って行く。わたしはここにいます。あの子と同じ場所にいます。中和します。あの子の地平線が下がります。それを考えると居た堪れなくなりわたしは飛び出した。尊厳を壊すことになろうともこの行為はわたしがしなければいけないものだ。あの子を傷つけたくない、傷つくところをみたくない、傷ついたあの子みたくない、傷つけるわたしをみたくない、ほくそ笑むわたしをみたくない、至福の喜びを味わうわたしをみたくない。何もかも嘘だと信じたい。信じれないからはわたしは飛び出す。理性も本能もどちらも好きだ。でもわたしはわたしがあることが好きで嫌いだ。わたしのもとで続いていく。好きで嫌いだ。何とでもなるのに、わたしは誰かと同じ地平線に立てないことも知りながら同じ地平線に立たぬものとは一緒にいられなかった。其れがわたしを形作っていた。
生きる。それに恐れ慄きされど生きていた。わたしの思う生きる以上にわたしが生きることは広くだから戸惑い又地平線は遠くなる。わたしの思う地平線など馬鹿馬鹿しく早く捨ててやりたい。そしてそれはもうわたしでないと何度も恐れてきたことだ。わたしなどいない。ただなにもない。そうしてわたしはどんどんと人形に近くなる。所々カタカタ震えている。ああ嫌だ。逃げよう。落ちて死んででも飛んでなどいなくわたしはベットから落ちただけでそれならばわたしは首を吊ろうとするがそれはとうふですべり落ちてもう無理だ。人形だ。わたしは人形。カタカタ震えている。

 

何処までも地平線が広がっているのかいないのか。おそらくわたしは人形ではない、ただいつまでもわたしでい続ける。ただ何処までも人形としての型が膨れ上がりわたしを遠ざけているだけだ。君には見えないだけだ。わたしは人間であり君のみているわたしは限りなく人形なんだよ。もしもあなたが好きだというわたしがいたならばそれは人形だ。人形を抱き愛撫し自慰したまえ。わたしはただここにいて君と人形の逃避行をみている。君たちは幸せそうだ。でも君のそれもまた人形ならばやはりはるか遠い話なんだろうな。君とわたしとの性愛は御伽話の1ぺージに大切に保管されている。君とわたしそれぞれの視点で2冊ある。わたしは君のを読もう。君はわたしのを読みたまえ。そして歓喜しむらむらとし一人で果たしそして破こう。これは所詮御伽話。夢の紡ぎだ。

 

みんな椅子に座り授業を聞いている。それぞれの態度。寝てたり熱心に耳を傾けていたりこそこそ話していたり黙っていたりいなかったり。ただそれだけで時としてわたしたちは交じり合うことはあるだろうがそれはゆめなのだよ。ずっとずっとゆめをみている。わたしは椅子に座り周りを眺めている。わたしのゆめを冷笑したまえ。わたしは誰とも接しているようで誰にも接してなどいなくてそれなのにおごれ高ぶり誰よりも高潔であると黙り込みそれなのになお自らを落とし込めているそういうゆめだ。馬鹿げたゆめだ。だがそれがわたしが造り上げたそうならざるを得ないゆめであろう。今後どうなるかは知らないがそれは全部ゆめで起きたらただ椅子に座ってただ周りを眺めるわたしがいてああ滑稽だ。笑い話だ。それでしかない。ないんだ。

 

人形を押し倒す。犯す。陵辱する。俺はズボンを下ろしただひたすら腰を振る。ただ無情に。悲しみとか叫びとかを聞いて俺はなにも思わない。ただ振る。そして果てて忘れて殺される。君はひどいことをした。人形の父親がレンガで俺の頭を打つ。殴打する。そして血まみれになった俺みたいな人形が地面に項垂れる。さらに叩かられてカタカタ震えだしそして止まる。ミンチになるまで叩かられ続けてでも俺はこんなことにぬるからやめておいたらよかったなって気持ちぐらいでそんだけで自分を忘れる。楽になる。俺という人形が形を失っても父親はただ殴り続けていた。ある晴れた春の出来事だった。

 

造られたものだという。わたしもそう思う。あの当たり前に繰り返される冗談は生きているらしい。
全部そういうものにして死ね。
なんでもそう思えるのだから。
ただそこでの当たり前に嫌気がさしただけ。
なんでもないことなのに。それだけなのに。