卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

かつら

一日一文

なる人。わたしになる人。何かになる人。他者は違うという。わたしはわたし。わたしの思い込み。

言葉のお皿にあなたが乗っている。おいしいお寿司になりますか?
握って載せて思い込んでそして剥がれてでもあなたの上にはおさかなが。
「わたしシャリじゃないの」
そう生臭いさかなを嫌がる少女にしょうゆがかけられる。かけられただけ。
「食わないの?」
少女は聞くが手は動かない。
「わたしシャリじゃないから」
少女は皿から去っていく。頭からさかなは落ちることなくかつらを演じている。
「このかつらはじゃまだ」
剥がそうと頭をふらりふらり揺らすが密着したまま。こいつらコンビだお寿司だな。
「だからシャリじゃないしそもそもさかなとくっ付くか?」
そう疑問に思いながらあたまを未だふりふり振っている少女。さかなは飛ばぬが口から言葉が飛んでいった。
「……(わたしはまだおしゃべりする)」
そうは思うが口から出ぬぞ。
「……(得てして寿司に導かれ)」
少女は皿の上に乗った。
「……(そんなに寿司にしたければ食うがいい)」
手を睨むが寿司は放ったらかし。乾いていく少女。
「……(わたしはもうシャリだろうからどんどん老いていく)」
手を蹴るがなんの反応なし。寄る肩のない少女は次第に心細くなってきた。
「……(泣いちゃうからね)」
ジッとした目で手を見るが何の反応なし。
「……(……)」
少女は手の横に座った。手にもたれた。
「……(わたしはここにいるよ)」
少女は眠る。寿司になる。その瞬間彼女は食われて。さようなら。