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ふにゃっ

あの星のふもと、かたちが手を振っている

日本初の死

一日一文

死ね死ねと述べるわたしたちの口を真に受けて君が死ねたなら幸せだね。君は死にたかった。死にたいと話した。僕たちは知らない。文字を喉に震わせられない。君はこの国を見つめられた? 僕たちの想いの蓄積を国と認めてまるで隣の家のおばさんがヒステリーで叫び日常茶飯事如く耐えられた?
日本初の死亡。はたから見れば欠けた国が欠けた。喪失。去勢。死だ。君は死んだ。僕の大事な君が死んだ。
果たされず果たすこともないそんな筈がない。人を死と認めても彼自身が果たせずとも僕たちがそれを終わらす。消化させる。彼という個体が彼を果たすなど夢にしかならないというならば彼は死んだと答える。彼という存在は生きている。
死亡。わたしは生きている。天体望遠鏡でこの星はあの星からごみと認める。わたしは認める。死ね。死亡。日本初の死亡。
生きた日本は死ぬ時特攻してまるでねずみみたいな能力を鬼のように錯覚させる。死に方の上手い日本だ。
明日もまた死ぬ。日本二回目の死亡。三回目の死亡。間に再生と破壊。下克上を果たそうと認められぬ思い込み野郎がミサイル片手に特攻。死ね。死んじまえ。俺が殺してやる。
自殺。日本初の死亡は横見ながら歩いていた日本が石ころに引っかかって道端に落ちた水浸しの締まった豆腐のなかに頭突っ込んで窒息死。日本の葬式で日本が泣いた。
日本たちは立ち上がる。日本がカキカキ書いた傍目から見れば下らない詩篇を食パンに書き占めて口に齧り走り出した。転校生。朝早く遅刻して君と出会う。君は彼の詩を美しいと思うかい? 子供染みたあほうかと思うかい? 僕は君に読んで欲しい。広めてあげて。彼はそれを望んでいた。僕もそれを望んでいる。僕たちの、願い。
転校生は街角でぶつかり君は詩篇を吸収する。君は日本だ。君も日本だ。この詩篇は日本なんだ。日本と認められるの、君も。どうなんでもいいよ今まで通り。それでも君は日本なのさ。大事な日本。
日本は常に美しい。日本は常に国を保つ。日本は死んだことない。日本の文字から線は抜けない。九の線と二つの漢字と三つの平仮名。日本は変わることがない。変わったことがない。日本は死なない。だから美しい。
日本初の死。日本は死なない。だから死ぬ。初の死。死を経験して彼は詩になる。彼そのものが遺される。それを日本たちは食パンに書き占めて街角転校生とぶつかる。転校生。君は日本なんだ。日本なんだよ。覚えていてね。この食パン食べたら忘れないから今すぐ食ってお腹空いてるでしょほら、ほら。
死にたいと日本はいう。日本たちは誤魔化す。日本は死なない。だから死ねない。それなのに死にたいと日本はいう。それを誤魔化してまるで死ぬみたいに…。死ぬの?
日本初の死。日本は日本を与えられたからいつまでもいつまでも日本初の死を経験して拡散していく。死んだらもう二度目はないと思うから初の死に初はいらないと思うけれどどうやら日本は何度も死にたいように思っているようだ。でも計算されない。みんな初の死になっちゃう。日本初。この修辞が好きみたい。
日本初の死に僕は立ち会えるかというと立ち会えない。そもそも解らないだろう。文字が分解され日本から日本へと、、、ほらっ。日本という文字から逃れられない。この九画の二字熟語を解き放てない。別の文字を当てはめても日本は日本。日本初の死を君は与えられるか。不可能。
日本は日本だ。日本でしかない。この文字が死ぬことなんてない。欠けさせられない。日本初の死。僕は死んだ。彼も死んだ。日本も死んだ。それでも日本に日本初の死が訪れない。この文字を解放できない。