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ふにゃっ

あの星のふもと、かたちが手を振っている

マッツァーを持つ男

 

一日一文

 パンを膨らませる時間がない為出来たマッツァー。イースト菌がお亡くなりになられたマッツァー。そんなマッツァーをまるで愛読書のように抱える男。

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 ユダヤ教の祭りで食されるマッツァー。彼は宣教師のようにマッツァーを宣伝するものなのか。謎である。

 なんだか彼は普段からマッツァーを持ち歩いていてそれは意固地で理由なく光悦とした顔で歩き回る男。マッツァーを持つ男。

パン生地は水分を含み始めてから18分経つと膨らみ始めると考えられているため、オーブンに入れる前にそれ以上の時間が経ったものはマッツァーとはみなされない。

 祭り期間中いくつかの穀物は禁止されている為代用品として粉へとすり潰されるマッツァー。

 そんなマッツァーにいつしか彼は傾注していった。生活の友となった。

 テーブルに重ねられたマッツァー朝手に握りしめ街へと出かける。シナゴーグへ行く。

風変わりな男を回りは許容するが彼は特に気にする様子もない。最早彼の中ではマッツァーと等しいのだ。

 彼は死せる時までマッツァーを手に握りしめ生活した。そんな彼に今勲章を挙げよう。マッツァーを記した勲章をマッツァーに載せて祈ります。君はマッツァー、マッツァーを愛しマッツァーに愛されました。ここに一枚の絵があります。これこそが証です。マッツァー狂いの一人の男の伝承が記された、あなたこそマッツァーに相応しい。私は今マッツァーを作りました。もうマッツァーとしか言いようもないほどにマッツァーです。しかと握りしめてください。あなたに愛されたマッツァーは喜ぶでしょうから。