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ふにゃっ

あの星のふもと、かたちが手を振っている

奇妙とあほうと馬鹿

一日一文

勝手に君に思い込んで手を繋いだ瞬間わたしは忘れて、次の日君は僕と出会ってなかったと云う。僕の記憶はとても嘘でそれは単純に器官が欠乏していることに他ならないんだけどそうやって思い込むのも騙されるのも世界から消えたらいいのになと薄い僕はふと思った。その為には何もかもに近づかなければいい、そうするしか道はない。そうなった。
傷つくことでしか越えられない。何を越えるの? 何が待っているの? その為に生きるって矛盾。瞬間でしょ。つまり寿命。わたしの寿命。最初のわたしはそこで命を終えた。馬鹿な話。続くのでしょうか。誰かわたしの手を持って捧げるのでしょうか。祈られるともう誰も振り向くことなく嘗てに結ばれてわたしは目を瞑り忘れられることでしょう。それが良いことならば、良いこと? 良いことがあなたに待っている。その話に溺れている。溺れるしか存在しない。存在することから逃げたいのに存在はしたい。みんなそんな妄想を抱えていつしか君は産まれる。もう息しているんだろう。そう願う。
足りない足りない磨かれていない。話はすぐに飛んでいく。なにか蜃気楼を求めて生きてきた。そこしか生きられない、生きていけない、そう思い込んで。
思い込むしかなかった。わたしを何度も重ねた私たちの言葉はまだわたししか知らない僕には耐えきれない。いつも瞬間としか話せないのに何故か優秀な脅威的な君は違うと勝手に思い込んだ。幅はどこにでも或る。それを千切って大きな何かを得られるとわたしは考えた。まだわからない。でもおそらくわたしはわたし自身の形付けられた脆い幅を知らずに脅威的に吐くことを要求されているのだろう。誰に。わたし自身に。
大きな話はいつもみんなの瞬間の埃が積もって積もって影響されて次第にうねりとなって私たちの元に届いているんだろう。それを大災と人は呼び犠牲を伴う祭儀を重ねていつの間にか忘れられた。可能性の固定により寿命を定められた。私たちは殺しあうだろう。殺戮を思い出すだろう。どうしようもなく血を流すわたしたちの瞬間から生まれ出した悲しみを覆い尽くす言葉はいつまで語られ続けるのだろうか。隕石だ。隕石ですら制御して、次は宇宙も制御するのかな。言葉は偉大だ。他の可能性と混じり合い可能でなかった言葉もまた発揮してわたしと云う個体はただ君の名を呼ぶ。君がどこまでもどこまでも可能性を吸い込んで固定を超えていく。僕の寿命は百年だった。最早明後日の命としか思えないけどね。
わたしの君は君の君とよく似ていて笑いながら手を繋いでいつの間にか崖から落っこちていった。私たちは肉体らしく死んだ。手は離された。顔はひどく歪んでいたらしい。そんな僕たちの君はまだ落っこちる前で浮かんでいた。笑っている。そして浮いていった。
みんな君と君と呼んで誰かと繋がりそれを君と呼んで思い込んで君はいつしか混濁して忘れられる。あの時のままね。実際いつも僕は僕。そこら中に浮いている君に僕は自分を重ねて思い込んで思い込みすら忘れて君となってしまった。なれない。歪んだ君だ。そして君は寿命を全うする。僕は目を覚まし君を思い浮かべるが君はもういない。僕は君になりきってしまい思い出せない。記憶がとろんで波紋が浮かんでいる。思い出せない。執着する。寿命はとっくに過ぎきった肉体は君でしか保てない君にその身を委ねて誤魔化しました。やはり私は死んでいたのです。今の私は何者でしょうか。君と君を思い出せずわたしを殺した私はなにかできるのでしょうか。傲慢だ。ここはなかった世界。生きるを設定した世界。みんなの君が僕をここに立たせている。みんな形を与えられることすら奇跡なんだけどその形の寿命は保って17程度。その後も失いたいたくない死亡者たちの叫びの末のお話なんだよ。この立っていられる場所こそが最良の物語だ。君は最高の語り部、継承者。何か話して。いっぱいのわたしが聞いてるからさ。もし、君を知らないわたしを亡者たるあなたと同類にしたいならばね。自殺する? 出来ないからここにいるんでしょ。ほら座布団保ってコーラ握りしめて楽しみに待っているよ。笑って。手を上げて。演奏を聴かせてあげよう。レクイエムさ。君自身の君、のね。
僕は繰り返した。遠い話と近い話で君に願った流れ星を尊いと身を震わした。何度も繰り返すのだ。わたしが主体の流れ星を忘れて君に費やする星屑は決して届くことなく成層圏で燃え尽きる。其れが嫌だとか紅潮するとか色々重ねてでもやっぱり気づかずわたしは繰り返すんだろう。思い込みと自惚れと肩透かし。されど其れに嫌な気分はしなかった。浮いた君と浮いていない君と。どんどん気分は盛り上がり真に溺れていくんだけど何かしらで僕は君に触れられた。其れは蜃気楼だったけれど。いつしか実体にしたい。本気で思いたい。思い込みを超えたい。燃え尽きて塵として存在しなくてもわたしは地表に浮かぶ。
「君が君だったのね!」
そんな奇妙なことを願う。奇妙とあほうと馬鹿が形容詞だ。少なくとも存続できる僕のね。