卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

間抜けなこと。

一日一文

 「あなたは思い込もうとする」
と言いながら五円玉を糸で吊るして催眠術を掛けようとする少女は一体どういう領域で生きてきたものであろうか。私は大変興味深く思い少女に聞いてみた。
「あなたはそういう経歴という輩をえらく忌避してきたというのになんて身勝手なんですね。私は知っています。あなたが何を思考して何を避けてきたかをね」
「そりゃあ凄い。あなたは催眠術師って云う領域を超えている。ってそんな喧嘩をしたいんじゃありません。私は少しでも忌避してきた自分自身って輩を公にしようって思い始めたのです。下手に言葉で覆った不自然不愉快な姿勢を改めて素朴な純真さに纏めていこうって考えているんです。だってだって優しさの裏とか正しさの裏とかを大切にし過ぎて全くもってばらばらな者でしかないって悲しすぎますから」
少女は滑稽なる馴れない言葉を矢継ぎ早に飛ばす私に苦笑した。
「まぁでも他者からどう見えるにしてもあなたが時代の間抜けでしかないって事は永遠に定められた位置って事よ」
「そんな物わかってますよ。だからこそただ生きるって事です。もう間抜けな事は確定していますからその中でどうやるかって事です。役所の文字の下に潜む個々の姿勢です。其れが個人に大切な事です」
少女はくすくす笑いながら私の横をすり通り歩いていく。一体全体どうしたのであろうか。
「私は行かなくてはならないのよ。たった一人で私を占拠できるなんて思わないで」
「そんな思考誰が示した!」
僕は怒る。なんて身勝手な思考だ。酷すぎる。
「文体よ」
「はっ?」
「この構成が示しているわ。あなたが一体何をしたいかってことをね」
そうして少女は口から溢れる笑いを辺りに零しながら姿を霧消させた。
「僕が知る少女はどうしてこうなのだ」
僕は苦悩へと進む思考に惑われる。
「まぁ、でも」
其れが俺だからね。僕はため息をつき空を見上げた。
「なんもねぇなぁ」
そんな具合の空である。