卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

千年の終わりはもう過ぎた

一日一文

普段は何も言わない祖父のSOS。本当に何にも言わない人の声ならば直ぐに気づけるだろうが言うべきところで言わず口を閉じざるをえない組み合わせな人の声にはそう良い反応を返せない。僕はゆったりと服を着替えて外に出て自転車に乗り現場に向かう。
田植えの機械がバランスを崩し苗がとことこ辺りに植えられた田んぼ脇に沈んでる。祖父はトラックに縄を縛って機械を引っ張る。ただ引っ張る祖父の辺りを自転車で漕いで彷徨く自分。何も変わらない沈む機械。
「助けてくれよ」
解らない。色々と。変な状況。僕自身と何もかも。
田んぼの横にはアスファルト、その横、上を眺めるとバイパスが走っている。壁。その向こうに夕焼け。
何度かの祖父の試しで機械は沈みから救われて動けるようになった。もういいよと言う祖父の声。何が良いのであろう。わからない。言葉とか意味とか何を示しているんだ。もう何もかもが確かさを此処で示している。後ろを振り向くともう少しで陽が落ちることが解る。前を見ると自分の影がある。
自転車を漕ぐ。ゆっくりとだらりと。歩くとか走るとか無理。止まると何か耐えられない。農家のおじさんとおばさんの気配。横を走る車と空を飛ぶ鳥の声。人は道を歩いていない。誰もいない。会わない道を進む。陽の方向へと進む。世界は流れていくけれど僕もまたそうでしかない。
家に帰りたくない。何もかもなかったらよかったのに。あるとかないとか考えたくない。なんで在ってしまったのか。そんなことも考えたくはない。
土地を巡って方向は変わり陽はまだ見えて。反対を漕いでいく。影。わたしの影。自分を知りながら帰っていく。自宅へ帰っていく。

 

 

無理やりな話。何もかも。

 

 

単に解析度の問題。やり慣れていない。そんだけ。