卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

第1話 天体観測 【GUNSLINGER GIRL】【Vol.1】

GUNSLINGER GIRL, 漫画 一日一話

《あらすじ》
社会福祉公社に転職したジャン・ジョゼ兄弟は政府の汚れ仕事に使う為の子供を探しに病院を訪れていた。兄のジャンは早々に対象を決めたが弟のジョゼはなかなか煮え切らない。「公社」の技術者が適切と述べる子供を道具に使うことに引け目を感じているらしい。ジョゼは中々乗り気になれない中、此れで幾つめか分からない病院にて出会った重症、自殺を望んでいる少女を対象に選ぶ。
それから何ヶ月ほどか。イタリアのカラーブリア。左手に拳銃を持った男、ヒルシャーは作戦指揮を行うジャンに作戦の状況を報告している。彼と共に銃撃戦を演じた褐色の肌、長い金髪をツインテールにくくった少女は血生臭い現場で銃剣を持ち、当たり前のように項垂れる者の生死を確認している。ヒルシャーから状況を受けたジャンはジョゼに連絡する。どうやらこちらが作戦の本命らしい。本命が篭っている部屋を遠くの建物屋上に備わる看板の向こうから双眼鏡で眺めるジャンの横にはブロンドの髪をした少女が狙撃の体勢で待機している。
一般的な人が歩行する街道にてジャンから本命との接触を図れと指示されたジョゼは少し離れた位置にてヴァイオンリケースを抱える少女に呼び掛ける。「行こうヘンリエッタ」ブラウンの髪の少女ヘンリエッタは礼儀正しく「はいっ」と返事しとことことジョゼの歩行についていく。
その頃本命の男たちにカラーブリアが襲われた情報が入る。カラーブリアに現れたらしい子供連れの男の話を聞いて真ん中に座り込むボスらしき男は最近子供の殺し屋を使う政府組織があるという噂を言葉にした。
するとドアをノックする音。下っ端の男がドアスコープから確認すると背広の男と女の子がドアの前に立っている。ボスは女の子という言葉に反応するが問題なくドアの解放を指示する。記者だと述べる男、ジョゼを追い払う下っ端の男は余りに強気で横で静かに見つめるヘンリエッタは我慢出来なくなり左手に預けていたヴァイオンケースをとても女の子とは思えない力強さで振り回し男を一撃する。その調子で異変に気付いた男たちをヘンリエッタはヴァイオンケースから出した銃で一網打尽。狙撃の少女のアシストもありヘンリエッタは腕に傷を負う程度の負傷で済んだ。
「対象のアルバニア人を確認するまで動くなよ」という命令を無視したヘンリエッタに理由を聞くとジョゼさんに乱暴する人は許せないと涙をちょぼりと流しながら呟く。後始末を待機していたものに頼んでヘンリエッタを用意していた車に載せたジョゼにヘンリエッタは話しかける。ジョゼは痛みがぶり返したのかと考えたがヘンリエッタはジョゼの役に立ちたかったと自身の気持ちを吐露する。ジョゼは彼女の言葉に何も返答できず、帰ったらすぐ先生に傷を診てもらいなさいとしか言えなかった。
殺しの為の義体を普通の女の子として扱うジョゼに先生もジャンも釘をさす。「条件付け」という洗脳を徹底しろという。命令無視するような義体では役には立たないのだから。
道具であるはずの義体ヘンリエッタに愛着を持つジョゼは彼女をパートナーに選んだ時のことを考える。一家六人が惨殺され、ただ一人生き残ったものの身も心もぼろぼろだったヘンリエッタ。どういう気持ちであれ彼女を救いたかった。
条件付けの結果以前の記憶が消された状態でヘンリエッタは公社でやっていく心得をジョゼに屋上にて説かれる。
死んだ目で聞くヘンリエッタにジョゼは会話する努力を始める。
「上を見てごらん」
「え?」
「あの雲の隣ぼんやりと光る点が見えるかい?」
「……何ですか?」
「空に光るものがあるとすれば何だろう?
ひょっとしたら妖精かもしれないな」
「飛行機ですか?」
「いい答えだね。昔戦争中に飛行機と見間違えてびっくりした人もいる。
だがもし今が夜だとしたらどう考えるだろう」
ジョゼはヘンリエッタが持っていた狙撃銃のスコープを外しヘンリエッタの目に預ける。
「……星…?」
「そう地球の内側を回る金星なんだ。ああ、太陽は見ないように…」
「さすがにこのライフルじゃ金星人の頭を狙うのは無理だろうな」
「ジョゼさんて…何でも知っているんですね……」
修理から目覚めたヘンリエッタはなぜか涙が勝手に流れる。
服を着て何時ものようにとことこと自室にへと帰るヘンリエッタは褐色の肌、金髪の少女トリエラに声を掛けられお茶に誘われる。
お茶会にて色々とお話をして自室にへと帰ったヘンリエッタはジョゼさんから屋上に来てくれと呼ばれる。ジョゼさんからコート貰ったコートを来て寒い屋上に出たヘンリエッタ。ジョゼさんは天体望遠鏡を用意していたがヘンリエッタはあの時星を見ていたことを忘れていた。仕方がないからジョゼは今日の仕事のごほうびとしてこの機会を用意したことにする。もちろんヘンリエッタはごほうびを貰える働きどころか命令無視をしたわけで。ヘンリエッタはなぜという態度を示すけれどジョゼはオリオン座についての知識を披露して話には触れない。二人は夜の星を眺める。
「ジョゼさん…」
「ん?」
「ジョゼさんて何でも知っているんですね」
「そうとも」

 

〈概要〉
GUNSLINGER GIRL第1話。
・煮え切らないジョゼと普通の女の子ヘンリエッタが中心のお話。

 

 

〈かたちの所感〉
道具としての役割を受け持つ義体に違う感情を預けるジョゼ。家族を殺されて手足を片方ずつ失い生き残った少女に救いたいと感情を持つことが良いか悪いかは別にして歪んだ関係を産む始まりだと言えるだろう。この物語はイタリアでのテロや暗殺といった暴力にかわいく愛しい少女が入り込んだ歪んだものであることは自明ではあるのだがそれを象徴するのが26Pのやり取り。公社の施設屋上にてかわいらしい私服を着たヘンリエッタに仕事を教えるジョゼ。仕事だけならば良かったのだがジョゼは無口で沈んでいるヘンリエッタに見兼ねて会話する努力を始めた。仕事、道具としての役割を心得ようと集中していたヘンリエッタは意識外の言葉に無意識の返事をする。其処からはかたちの好きな感じの展開を演じるのだがこの感情あってこそのGUNSLINGER GIRLで有ろう。殺人等の汚れ仕事に使う道具に少女を選び、その少女に何らかの感情を預けながらも仕事を教え、実行させる歪み。戦争は大人のもの、少女は庭で駆け回って居ればよい。しかしGUNSLINGER GIRLの舞台はそのような常道に守られた立ち位置ではない。何処かで何らかの問題に巻き込まれた大人と女の子としての生きるを全う出来なかった少女とのお話である。其れである限り何もかも感情が入れ混ざりどうしようもない道を辿る他ないのだが、そうなったのだから仕方ない。後は彼らがどうなっていくのか、せめてでもの幸せが眠っていることを祈るだけである。

子は親を選ぶことは出来ない。義体となる少女たちはその後の担当となる大人によって数多くの曰く付きの少女たちの中から一人選ばれる。選ばれた彼女と担当となる大人は皮肉めかしてフラテッロ、兄弟と呼ばれる。
第1話では三つのフラテッロが登場する。二つのフラテッロは後々の話としてジョゼとヘンリエッタヘンリエッタは選ばれた少女。早々と決めた兄のジャンと違い彼は幾つもの病院を歩き回り自身に嵌まり込む少女を選んだ。第1話の言葉を借りるならば、善行を積めて同情出来る救いたいと思える少女を探していたのだ。
親は子を選んではいけない。子の領域に入り込みすぎてはいけない。ジョゼとヘンリエッタは親子ではないし"兄弟”。しかし自らの視野に叶う少女を選んだジョゼ。一話時点でジョゼが選んだ少女に課していること。公社の道具であること。子供であること。これらはジョゼが担当官である為の条件。その中でジョゼは不幸と認定した少女を出来る限り救いたいと考えている。会話しようと心掛けている。公社の人間としての範囲に収まった上でだ。その部分がこの二人の関係性に於ける苦しみに繋がる。ヘンリエッタはジョゼで居なければこの舞台、GUNSLINGER GIRLにあがらなかった少女。ジョゼという存在あってこその彼女なわけで。そんな彼女は道具ということを理解しているのに其れに贖うような半端さでヘンリエッタに接しているジョゼの態度に心を揺らされる。「条件付け」という洗脳によって出来る限り義体となった少女たちは戦闘ということに参加することへの意識を緩和させているのだが、ヘンリエッタの条件付けは甘く時に命令無視を行ってしまう。第1話では命令無視を行った彼女は大虐殺を行ってしまうのだが、その理由がジョゼに乱暴するものは許せないである。普通の女の子だ。戦闘するものではない。普通の女の子。戦闘に参加させるならばやはり心の隅々まで条件付けを徹底すべきである。23Pで課長が述べた少々問題はあるがヘンリエッタは優秀という言葉はジョゼの態度に起因している。もちろんジョゼがヘンリエッタを選んで話す努力を放棄する現実なんて存在しないし、ヘンリエッタという少女の経歴に於いてもしかしたら別の人間によってGUNSLINGER GIRLの舞台に上がることも否定できないがその場合優秀という判子がつくかというと自分は単純に肯定出来ない。全てはやはり互いに何かの糸に於いて繋がるものを感じたからこそ、それでなにであれ、大切なことだから。

 


その他メモ
ジョゼはジョゼなりの方法でやっているわけだ。たとえどのような道を辿るのであれ其処に居てその状況が用意されているならばその中でなんとか自身を発露していく以外に道はない。その為の方法を自身で描こうとするジョゼなのだが現実の進みが自身と少しずれて上手くいかないこともある。
命令無視を行ったもののなんとか任務は成功に運ばれたので大目にみるといった課長はジョゼにヘンリエッタをきつく𠮟れと述べたのだが、ジョゼはヘンリエッタが自身が抱える少女の心にただ叱るという方法をするぐらいならば条件付けを行なっているわけで、別の方法をとる。ヘンリエッタに会話する努力を始めた際に見せた星をしっかりと見せようとしたのだ。それこそがジョゼが出来る最高の方法であったわけなのだが、残念ながらヘンリエッタは記憶を失っていた。条件付けや修理の際に使う薬の副作用がでたのだ。ジョゼは仕方なく話をすりかえる。ヘンリエッタにそのことを気づかせたくなかったのだ。ジョゼは今日の仕事のご褒美だと述べた。もちろんヘンリエッタは釈然としない態度を取るのだがジョゼは星の知識を話し誤魔化す。そして記憶にない初めてジョゼと会話したときと同じことを述べたのだ。

最後のコマへの流し方が良いのです。紡げる筈だったものを紡がなくてだからと言ってそれに落ち込むことは出来なくて場を持たせる言葉を吐いて、続きを裁断する。しかし感情は続いているってね。いい感じ。


第一話で好きな言葉
「紅茶とケーキには幸せの魔法がかかっているの」P30 トリエラ 発言 
「よし今日からヘンリエッタを砂糖女と呼ぶ」「うう」 P31 トリエラ,ヘンリエッタ発言
「なにそれ『誰の言葉』? 」「『私の言葉』さ」 P31 トリエラ(ヘンリエッタ),クラエス 発言

 

 

好きなコマと気になるコマ

 

f:id:sotononaka:20171003024010j:plain

公社の車は当たり前のようにピザ屋。『GUNSLINGER GIRL① 第1話 P20』 抜粋

 

f:id:sotononaka:20171003024018j:plain

噴水の周りに二つの車。何の為にあるのでしょうか? 『GUNSLINGER GIRL① 第1話 P21』 抜粋

 

f:id:sotononaka:20171003023251j:plain

「道具」、はたまたシステムの象徴? メイドさん。『GUNSLINGER GIRL① 第1話 P23』 抜粋

 

f:id:sotononaka:20171003023256j:plain

横のヘンリエッタが好きですね。取り外されたライフルスコープで金星を眺めようとする様子がちょっとまぬけで、ぼーと空気に乗っている感じが。『GUNSLINGER GIRL① 第1話 P28』 抜粋

 


次回は GUNSLINGER GIRL 第二話 Love thy neighbor です。

 

〈自身への反省点〉

あらすじが長い。

一日で書けなかった。

自身を正しく書く。