卵の殻保存同盟

落ちた鈍い殻はとてもおいしい、と思う

第2話 Love thy neighbor 【GUNSLINGER GIRL】【Vol.1】

GUNSLINGER GIRL ,漫画一日一話

《あらすじ》
第1話でジャンの横にいた金髪の少女リコは11歳の誕生日に初めて自由に動く自分の身体を手に入れた。病室のベットからの風景以外に何も知らない彼女は公社での生活を気に入っている。
ある日、標的の暗殺を行うために現場の下見を行なっていたリコはホテルのポーターの少年に出会ってしまう。少年のいたって普通の会話のペースにじたじたなリコは予想以上の時間を払って待機していたジャンの元へと帰る。そんなリコにジャンは仕事中に姿を見られたら必ず殺せと命令する。
それからのち、現場のホテルの一室にて標的の暗殺に成功したリコは廊下に出た瞬間不幸にも少年と立ち会わせ、少年に一言ごめんねと呟いて銃弾を少年に放った。

 

〈概要〉
GUNSLINGER GIRL 第二話。
リコ中心のお話。

 

〈かたちの所感〉
第1話ではジョゼとヘンリエッタの関係に至る因果について考えました。第二話では義体を道具として考えるジャンが選んだ少女リコについて考えていこうと思います。
第二話はやり切れないお話です。偶然出会いお話した好意を持つ少年をただ巡り合わせが悪かっただけで殺害するほかない道。そんな道を気にいるほかない何も出来ない少女、リコ。
生まれつき四肢に障害があったリコは11歳まで一度も病室から出なかった(一度も出ないほどの障害とはどれほどのものなのか僕には知識がありません)。両親はけんかばかり。年のはじめ内閣の発行したパンフレットの片隅に載っていた一つの事業計画。医者の薦めでサインした17枚のサイン。そうしてリコは初めて自由に動く自分の身体を手に入れた。
政府の汚れ仕事に準ずるリコたちには少しの幸せに生きる以外に自由はない。少なくとも普通と述べられがちな子供たちが享受している権利など存在しない。肉体や精神の殆どが公社の義体としての期待の範囲内で収められ運用されていく。その中でしか息が出来ないように条件付けされる。
条件付けされてある程度の思考は縛られているとはいえ少女たちはその中で自身の思考を育んでいる。任務に支障がない限りで個々の義体は担当官の判断で扱われるとも第1話では述べられている。喜怒哀楽は少女の中で進行する。
リコは公社での生活を気に入っていると言う。言われた通りにしていれば皆優しいから。病室のベットの上になかったもの、朝の静謐な空気、洗剤の香り、空と雲と太陽と……そして自分の身体、そのようなものがあるから。
「はいはいリコは何でも楽しいんだろ?」
褐色の少女トリエラの言葉にリコは何一つ囚われることなく肯定の返事。11歳までを病室で過ごしていたことで得られた感覚。彼女は何も出来ない。何にも入り込まず楽しいと感じる。
リコは言われたことは出来るけれど、其れを自身の考えに置いて考えることが出来ない。四肢が動かず病室から出られなかった11年間。それこそがリコの生活に於ける基礎だから、何も出来ない動けない届かないことが身体に染み込んでいる。其れに基づいて思考する。それ以上のものはまだない。定められた中で目の前に置かれるものを選択することが出来ない。
リコは偶然出会い話し込んだ少年を殺してしまう。ジャンから命令されたことを実行する。躊躇はあった。しかし軽いものなのか。リコにとって回りの人は存在するのか。まだとか言う話ではなく今ね。言われた通りにすれば皆優しいとかを普通に述べる(はず)のリコにはまだ何にもない。ただ自由な身体が存在することに慣れる以外リコにはまだ何にもない。
人を当たり前に拳銃で撃つこともそうだが、少年を撃ったこと。翌日か知らないがリコは起床するときに涙を流す。二話冒頭でも流していた。リコの涙にどのような意味があるのか。モノローグの言葉通り朝目覚める度いちばん気になることが今日も自分の体がちゃんと存在するかということならば、日々、リコは一体どのような感情に浸かりながら眠っているのだろうか。日々はただ生活を享受できる楽しさを味わっているリコは床に就くとき何を考えているのだろうか。第1話ではヘンリエッタが整備が終わって起きたとき涙を流していた。ヘンリエッタは涙の意味を分かっていなかった。ならばリコは、リコは涙の意味を理解しているのだろうか。第二話冒頭では涙の意味を享受しているように見える。ならばやはり最後の涙もまた同じであるのか。自分に好意があるかもしれない少年を撃ったことをリコはどのように処理したのか、しなかったのか。全ては条件付けのもと消えたのか。色々考えるけれど全て霧消してただ切ないという状況だ。

 

〈その他メモ〉
第1話でどうしてその行動をするのか分からない場面があった。

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GUNSLINGER GIRL ① 第1話 P32』 抜粋

大事そうに持つ穴が空き血が染み込んだカッターシャツを憂いた目で見つめるヘンリエッタ。部屋の外からジョゼに呼びかけられたヘンリエッタは見られてはいけないものを隠すように布団の下にカッターシャツを隠した。

 自身がそのようなものに無頓着なせいもあって、直接的な描写がないため初見では気づかなかったがどうやらこのカッターシャツ、ジョゼに貰ったものみたいですね。

 

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GUNSLINGER GIRL ① 第1話 P33』 抜粋  

 今貰ったものにこれほどの温かさを包み込むヘンリエッタですから。

 

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GUNSLINGER GIRL ① 第2話 P62』 抜粋

第二話では自室にてカッターシャツを縫っております。大切にしているみたいですね。ジョゼが此れをみると新しいものを買うと申し出るでしょうがそんなもの関係有りませんもんね。はい。

 

しかし彼女たちの服はどのように彼女たちのもとに届いたのだろうか。担当官が全て賄ったの? それともな話? どうなんでしょうね。リコの服を選びに町を駆けずり回るジャンさんとか見てみたいですね。


〈第二話で好きな言葉〉
特になし


〈好きなコマと気になるコマ〉

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「兄」の言葉に聞き耳を立てているトリエラ。ここの兄たちの会話は大人臭さがあって少々気持ち悪いです。『『GUNSLINGER GIRL ① 第2話 P46』 抜粋

 

 

次回はGUNSLINGER GIRL 第三話 THE SNOW WHITE 。

 

〈自身への反省〉
もう少しあるものに対する感性に敏感となるべし。気づくこと、大事。
あるものは書く。書けるようになる。